堺雅人さんと香川照之さんと言えば、ドラマ「半沢直樹」を連想する人も多いはず。
息の合った白熱するシーンの数々は多くの人を魅了しましたが、そんな二人が共演した作品は他にもあり、それが映画「鍵泥棒のメソッド」です。
本作は文部科学大臣賞や日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞し、テンポが良く痛快なストーリーは見応えがあります。
今回はこの作品について追ってみました。
映画「鍵泥棒のメソッド」あらすじ
桜井武史(堺雅人)は役者を夢見る35歳。ところがその夢は遠く、エキストラのバイトをこなすだけのその日暮らしです。
彼はある日ついに自殺を測りましたがあえなく失敗に終わります。
少ない所持金を握り締めて訪れた銭湯で目にしたのは見るからに金持ちな男(香川照之)。
彼は石鹸で滑り、床に頭を打ち付けて意識を失ってしまい病院に搬送されてしまいます。
その直前に桜井は彼のロッカーの鍵を自身のものとすり替え、彼の車や家やお金を手に入れ、借金の返済をしたり、優雅な暮らしを始めました。
桜井には罪悪感もあったのでしょう、後日、桜井が男の入院先を訪ねると、彼は記憶を失っており、交換した桜井の荷物から自身を桜井武史だと思い込んでいたのです。
桜井は彼に謝罪をするため訪れたのですが、それを知ったあとは再び知らぬ顔で病室を後にします。
ところが、病院の外で桜井を待ち受けていたのは、彼を“コンドウ”と呼ぶ男。
実は桜井と入れ替わった男は敏腕の殺し屋で、彼はコンドウとして裏社会に踏み入る羽目になるのでした。
一方、桜井と入れ変わったコンドウは、退院日に同じ病院に父が入院しているという水嶋香苗(広末凉子)と出会います。
彼女の父は重い病気であることから、なんとか年内に結婚しようと意気込んでいたため、記憶を失ったというコンドウに目を付け、奇妙な関係が始まるのでした。
映画の見どころ①正反対な桜井とコンドウが入れ替わったことで展開していくストーリー
桜井は役者を目指しているわりに努力をしておらず、ズボラでだらしない人物です。
そのためいつまで経っても日の目を浴びず、とうとう自殺まで選びますが失敗しています。
コンドウと入れ替わったあとも彼のお金を自由に使って暮らす様子が描かれています。
一方、コンドウは堅実という言葉が似合う人物です。
記憶を失い、桜井の代わりに彼の住んでいたボロアパートで暮らし始めたときにも、ぐちゃぐちゃになっていた部屋を片付けたり、エキストラをきちんとこなしたりしています。
また、自身の置かれている状況から好きな食べ物、演技におけるポイントなどを一冊のノートに細かくメモを取っていたりと真面目で誠実な面がうかがえます。
そんな二人が入れ替わったとあって、物語は二転三転としていくため、片時も目が離せないのです。
映画の見どころ②結婚願望の強い香苗の大胆な言動や行動
桜井とコンドウに並んで主人公でもある香苗は34歳で、父は彼女の結婚を待ち望んでいました。
香苗もその思いに応えようと努力をしますが、その行動や言動があらぬ方向にいっているのです。
例えば、彼女は同僚たちの前で堂々と結婚宣言をしますが、まだ「相手はいない」と言ったり、コンドウが暮らすボロアパートに訪れて手料理を振る舞ったかと思えば突然プロポーズをしたり。
二人の恋は始まってもいないのに彼女がコンドウに結婚式のプランの話を持ちかけたときには彼も困惑してしまいます。
長らく相手のいなかった香苗は、自暴自棄気味で、初めは結婚相手は誰でも良くたまたま出会った記憶喪失のコンドウに目を付けたのかもしれません。
しかし、彼女は最終的にコンドウにときめきを覚え、本当に結婚したいと思うようになったこともあり、彼女のコンドウへの執着は恋そのものだったのかもしれませんね。
映画の見どころ③記憶を取り戻したコンドウ、桜井、香苗がヤクザに挑む終盤
コンドウはひょんなことから記憶を取り戻し、自身の本名は山崎信一郎であることや殺し屋コンドウを名乗っている桜井のことなどを思い出し、行動に移します。
桜井が山崎のマンションに帰宅すると、彼はそこにいて「全てを話せ」といいます。
しかし、コンドウになりすました桜井が取引していたヤクザが来訪したので、二人は別室に移り身を潜めます。
ヤクザたちはターゲットだった者の愛人である井上から金のある場所を聞き出し、殺害するよう桜井に命じていましたが実行されないため押しかけてきたのです。
彼らが去った後、二人は命を狙われている女性を救うべく、計画を練るのです。
それは、殺し屋コンドウに扮した桜井がコンドウの架空の手下である山崎に彼らの目の前で殺されるというものでした。
刺されて死ぬという桜井の演技を目の当たりにした山崎は、彼のあまりの大根ぶりに落胆します。
そして演技指導はしばらく続いたのでした。
さて、後日ヤクザたちとの待ち合わせ場所に来た二人は、香苗という思わぬ来訪者によって計画を壊されてしまいます。
ヤクザたちと鉢合わせし、事情を知らない香苗を乗せて三人は逃走。
ただ、ヤクザたちは井上を殺害しに行く可能性が考えられ、山崎は一人で交渉しようとヤクザたちのもとへ向かいました。
一方桜井と香苗は井上のマンションを訪れ、彼女の安全を確認します。
しばらくしてヤクザと彼らに取り入った山崎がやってきました。
そこには顔に返り血を付けた桜井がいて、彼は床に転がっている井上を指差すと「こんなのは美しくない」「お前たちのせいで計画はめちゃくちゃだ」と怒りを露にします。
ところがヤクザは血は全て血のりだと見抜いてしまいます。
全員が絶体絶命のピンチに陥ったところで姿を現した香苗は、「ギターや家具といった物はビンテージのレア物で売ったら2億はする」と言うのです。
彼女は嘘は言っていなかったのでヤクザたちは目の色を変え、彼らを逃し、事無きを得ました。
逃走しながら山崎は「(さっきの演技は)結構感動した」と桜井を褒めたのでした。
この物語は特に三人の人物にスポットが当たっていますが、ごちゃごちゃすることのないストーリー進行には圧巻で、様々な賞を受賞したのも納得できるのではないでしょうか。
映画「鍵泥棒のメソッド」おわりに
堺雅人さんと香川照之さんが共演した「鍵泥棒のメソッド」は、奇想天外なストーリーが魅力です。
サスペンスコメディということですが、くすっと笑える要素が多く、気軽に楽しめるものとなっています。
半沢直樹からは想像もつかないような堺さんと香川さんの演技も見られますので、その姿を是非確認してみてください。