皆さんは「グリンチ」をご存知でしょうか?このキャラクターはドクター・スースが手掛けたアメリカの児童向け文学「いじわるグリンチのクリスマス」に登場する主人公です。
本作は1966年にスペシャルアニメ番組、2000年に実写映画化されましたが、今回ご紹介するのは2018年に公開されたアニメ映画版です。
実写版とは違い、子どもにも親しみやすい作品となっていますので、是非家族で見ていただきたい作品です。
映画「グリンチ」あらすじ
グリンチはフーヴィル村のはずれの屋敷に住んでいました。
毎年クリスマスシーズンになると村中が普段よりも活気付き、楽しそうに賑わうので、グリンチは面白く思っていませんでした。
彼の唯一の話し相手は犬のマックスですが、彼はグリンチがひとりぼっちで過ごしていることを心配していました。
ある日、食料が底を尽きたため、グリンチはしぶしぶ村に出かけます。
道中では、クリスマスに浮かれる村人たちに意地悪をしては楽しんでいました。
買い物を終えたグリンチが歩いていると、村の少女であるシンディ・ルーが乗ったソリとぶつかってしまいます。
グリンチは怒ろうとしますが、シンディは「サンタさんにお手紙を書いたから早く届けたくて急いでいたの」と彼に謝りました。
グリンチはやはり面白くないといった表情でその場を後にするのでした。
翌日、グリンチが目撃したのは、巨大なクリスマスツリーでした。
例年よりも3倍増しでクリスマスを楽しみたいという村の計画らしく、グリンチはこれに目をつけます。
なんと彼は、サンタになりすましてクリスマスを盗む計画を立てるのでした・・・。
映画の見どころ①実写版では表現しきれないキャラクターの愛らしさ
実写版のグリンチは、緑の長毛を生やし爪は長く見た目は熊に近い容姿です。
ひどい言動が目立ち、ゴミを食べ、その中から虫がうじゃうじゃと出てくるるシーンまで登場するため、小さな子どもの中にはこれを見て泣いてしまう子もいるかもしれません。
対してアニメ映画版では、実写のリアルな描写が削ぎ落とされ、グリンチもずいぶんマイルドな顔立ちになっています。
ご自慢の毛はふさふさで、実写では表現できないコミカルな動きもまた愛らしさがうかがえます。
もちろんシンディや村中の人たちも子ども受けする可愛らしい見た目に仕上がっています。
日本語吹き替えではグリンチ役の大泉洋さんを始め、ロバートの秋山竜次さんや杏さん、ナレーターには宮野真守さんなど多彩な面々が名を連ねます。
これらの要素が幅広い世代に受け入れられ、さらに認知度を上げた要因になったのではないでしょうか。
映画の見どころ②シンディとドナの家族愛にご注目
シンディがサンタに手紙を届けたかった理由は、シングルマザーで毎日忙しくしている母のドナに楽をさせてあげたく、その願いを叶えてもらうためでした。
そんな中、グリンチとぶつかってしまい、グリンチは「直接言えばいいだろ!」と冷たく言い放ちます。
それを信じたシンディは、サンタに直接会って話す計画を練るのです。
そうして迎えたクリスマスイヴ。
グリンチは村中のプレゼントやツリーを盗み始めます。
最後に訪れたのはシンディの家。
グリンチが同じように盗みを働こうとしたところ、シンディの仕掛けた罠に引っ掛かり捉えられてしまいます。
驚いているグリンチにシンディは「プレゼントはいらない。
忙しい母をどうか幸せにしてあげて」と懇願するのです。子どもを持つ方はもちろん、そうでない方にもグッとくるシーンです。
純真なシンディの思いにグリンチは罪悪感を覚え、その願いについては応えることができません。
彼ができたことと言えば、シンディが早く眠るように促すことくらいでした。
クリスマス当日、町中からプレゼントやツリーが消えていることもあって、人々は悲しみます。
シンディはドナに「自分が罠にはめたからサンタが怒ったのよ」と話しますが、彼女は「プレゼントはなくともクリスマスは皆の心の中にある」「それに私はあなたという素敵なプレゼントを貰っているわ」と言ってシンディを抱き締めました。
このように、シンディはドナを思い、ドナはシンディーや子どもたちを思う姿は美しく、家族愛はあたたかで良いものだと実感させられるのが本作の魅力でもあります。
映画の見どころ③ひとりぼっちのグリンチがひとりを卒業する瞬間
グリンチは長くクリスマスを憎み、とうとうクリスマス自体を村人から奪ってしまいました。
しかしクリスマスの日、村人は集まり、悲しみながらも聖歌を歌い始めます。
グリンチはその姿を見ているうちにあたたかい気持ちになり、なんと彼は盗んだ物を持って行って謝罪するのです。
誰もが突然のことに驚き、罵倒されることを恐れたグリンチはその場を去ります。
その日の夕方、グリンチの屋敷に来客があったかと思えばそれはシンディで、彼をクリスマスディナーに招待するのです。
グリンチは困惑しつつもシンディの家を訪ねると、彼と同じような招待客で賑わっていました。
そして、誰もグリンチを咎めることをせず、気軽に話しかけてくれるのです。
シンディやドナ、多くの人たちとテーブルを囲んだグリンチは、乾杯する前に立ち上がると人々にこう打ち明けます。
「わたしはクリスマスが嫌いでした。でも本当はそうではなく孤独が嫌いだったのです」人々に受け入れられ、家族のあたたかさを知ったグリンチは、生まれて初めて楽しいクリスマスを過ごすのでした。
偏屈で厄介者であろうグリンチは、初めは冷たい印象を受けるキャラクターではありますが、実は五十年以上も家族の愛を知らず孤独に生きてきたと知ったあとは、彼を応援したくなります。
そんな彼が村人たちとクリスマスを祝えるようになったときには涙が溢れることでしょう。
映画「グリンチ」まとめ
アニメ映画版「グリンチ」は実写版のようなリアルさがなくなり、子どもでも見られるような可愛らしいアニメーションに仕上がっています。
ひねくれ者でひとりぼっちの主人公グリンチが物語の最後には人々と楽しそうにクリスマスを過ごす姿は良かった、と思えるほどに感動します。
また、シンディとドナ、さらには村の人々の家族愛を見た後は、身近な人を大切にしたいと改めて思えるあたたかい作品なのではないでしょうか。